生成AIで広告作成を始める:コピー・バナー・動画の実務手順

深夜1時。明日のプレゼン資料、最後のコピー案がまだ3本しかない。「もう5パターン出してほしい」とディレクターに言われているのに、頭が完全に止まっている。スマホで「生成AI 広告 作成」と検索してみると、ツール名が並んだまとめ記事が10件ほど出てくる。読んでも、明日の現場で何をすれば使えるのかが書いていない。
それ、あなたが遅れているわけじゃないんですよ。
情報は溢れているのに、工程レベルで落ちている記事が少なすぎる。「ChatGPTでコピーが書けます」では、明日の入稿には使えない。この記事では、コピー量産からバナー生成、動画展開まで、工程ごとの具体的な手順とすぐ使えるプロンプトを渡します。
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コピーが5本しか出せない──それは才能じゃなく、仕組みの問題だ
熟練のコピーライターが1日に書ける広告コピーは、5〜10本が限界と言われています。参考 一方、生成AIは1時間で50〜100本のバリエーションを生成できる。参考
この数字を見て「AIがコピーライターを代替する」と読むと、本質を外します。正確に言うと、「1日に検証できるコピーの母数が10倍になる」というのが現実に起きていることです。
メディアレーダーが広告関連従事者468名を対象に行った2026年版の調査では、すでに 90.8%が業務で生成AIを活用している と回答しています。参考 そのうち約6割が「毎日利用」、週に数回以上を含めると全体の約9割が日常的にAIを起動している状況です。
「自分の職場だけ遅れているかも」という不安は正しい感覚です。ただ、問題は「使っているかどうか」ではなく、「工程に組み込めているかどうか」。多くの実務者はツールを触ったことはあるが、制作フローに定着していない。そこが差がつく場所なんですよね。
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コピーから動画まで。工程ごとにAIを差し込む具体手順
広告制作の工程は大きく3つに分かれます。①コピー、②バナー・静止画、③動画。それぞれでAIの入れどころが違います。
工程1:コピー量産(所要時間:30〜60分)
最初にやることは、AIにターゲット情報と媒体条件を渡すことです。「商品のよさを教えてください」では弱い。「誰に」「どこで」「何文字で」を同時に渡す。以下のプロンプトをそのままコピーして使ってみてください。
あなたはベテランコピーライターです。
以下の情報をもとに、広告コピー案を20本作成してください。
【商品情報】
- 商品名: [商品/サービス名]
- ターゲット: [年齢・性別・ライフスタイル・抱えている課題]
- 訴求ポイント: [USP・競合との差別化ポイント]
- 媒体: [バナー/SNS広告/動画広告/リスティング]
- 文字数制限: [上限文字数]
【出力形式】
以下の4軸で各5本ずつ作成してください:
1. 課題共感型(「〜で悩んでいませんか?」形式)
2. 数字実績型(具体的な数値や期間を含む)
3. ベネフィット直球型(「〜ができる/なれる」形式)
4. 感情訴求型(情景・共感を優先)
各コピーに「なぜこの軸を選んだか」を1行で添えてください。
使いどころ:新商品のコピー出しや、A/Bテスト素材の量産フェーズ。
出力を検証する観点:ターゲットの言語感覚と合っているか/媒体の文字数制限を守っているか/薬機法・景表法に触れる表現がないか
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工程2:バナー・静止画の制作(所要時間:30〜60分)
コピーが決まったら、次はビジュアルの指示書を作る。ここで多くの実務者がつまずくのは、デザイナーやAIに渡す素材が曖昧なことです。採用したコピーを使って、デザイン指示書とAI画像生成プロンプトを同時に生成するプロンプトを書きました。
以下の広告コピーをもとに、制作指示書を作成してください。
【採用コピー】[選んだコピーをそのまま貼る]
【訴求キーワード】[ブランドが大切にするキーワード]
【ビジュアルの方向性】[クリーン/温かみ/スタイリッシュ/ポップ等]
【色調】[ブランドカラーまたはイメージカラー]
【禁止事項】[使えない表現・画像・NG事項]
【配信先と比率】[GDN/SNS/OOH等。アスペクト比も記載]
以下の3つを出力してください:
1. デザイナー向け指示書(日本語・箇条書き)
2. Adobe FireflyまたはMidjourneyへの英語プロンプト
3. A/Bテスト用の差分案(色・レイアウト・被写体を変えた案を2パターン)
※差分は1変数ずつ変える設計にしてください
使いどころ:コピーが確定した後、制作に入る前の橋渡し。デザイナーとのコミュニケーションコストも同時に下がります。
出力を検証する観点:指示書がデザイナーに伝わる粒度か/AIプロンプトで意図した画風が出るか/A/B差分が「1変数だけ違う」設計になっているか
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工程3:動画広告への展開(所要時間:60〜120分)
静止画素材があれば、動画化は思ったより早くできます。RunwayやPikaで静止画を動かし、VrewやCapCutで字幕とナレーションをつける。この2段階の組み合わせが実務では扱いやすいです。参考
先日、伊藤園がテレビCM「お〜いお茶 カテキン緑茶」にAIタレントを起用した事例を読んでいて唸ったんですよ。第二弾では声もAIで生成したと。日本のテレビCMへのAIタレント起用は日本初の取り組みとして注目されていますが、もはや「できるか/できないか」の検証は完全に終わっている。あとは各社が「やるかどうか」の意思決定だけです。参考
パルコは2023年のホリデーキャンペーン「HAPPY HOLIDAYS」で、モデル・グラフィック・ムービー・ナレーション・音楽まで広告の全要素を生成AIで制作し、デジタルメディア協会のAMDアワードで優秀賞を受賞しています。参考 こうした事例が国内の大手から出ている以上、「様子見」のコストは確実に上がっているといえます。
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ツールが多すぎる前に。用途別7本を整理した
実務で使われているツールを用途別にまとめました。費用はプランによって変わるため、下表は機能面の○×比較です。
| ツール | コピー生成 | 静止画生成 | 動画生成 | 日本語対応 | 商用利用のしやすさ |
|---|---|---|---|---|---|
| ChatGPT(DALL·E 3含む) | ◎ | ○ | × | ◎ | ○ |
| Claude | ◎ | × | × | ◎ | ○ |
| Midjourney | × | ◎ | × | △ | 要都度確認 |
| Adobe Firefly | × | ◎ | △ | ○ | ◎ |
| Canva Magic Studio | ○ | ○ | △ | ◎ | ○ |
| Runway | × | △ | ◎ | △ | ○ |
| Vrew | × | × | ○(編集) | ◎ | ○ |
※商用利用の可否はプランや利用規約の改定で変わります。最新の公式ページを必ずご確認ください。
画像生成ツールで実務の安心感が高いのはAdobe Fireflyです。商用利用への補償制度を持っている点が、企業用途で選ばれる理由のひとつになっています。Midjourneyはクオリティが突出している反面、権利関係の確認が別途必要なケースがあります。デザイナーがいないチームへの入口としては、テンプレートとAI生成を組み合わせられるCanva Magic Studioが入りやすいです。参考
生成AIの活用目的についても、調査データで実態を確認しておきましょう。
{CHART|bar|広告従事者の生成AI活用目的(件数)|提案資料作成,社内業務効率化,営業活動高度化,顧客対応自動化|373,275,236,229|件|https://media-radar.jp/mediapicks/article/knowledge/ai-survey-for-marketers|メディアレーダー2026調査}
出典: メディアレーダー2026調査のデータより匠座作成
「提案資料作成」が373件でトップ、次が「社内業務効率化(275件)」「営業活動高度化(236件)」「顧客対応自動化(229件)」です。参考 画像・クリエイティブ生成への活用は自由回答で16件以上の回答が集まっており、「まだ少数派だが確実に広がっている」フェーズといえます。
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50%コスト削減の現場では、1日のリズムがこう変わっていた
実際の数字を見ておきましょう。スモカ歯磨株式会社は生成AI活用体制でコスト50%削減を達成し、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズはSNS運用への生成AI活用で2ヶ月で再生数を約2倍に伸ばしています。参考 この2つの数字から、導入前後の運用担当者の1日を時刻軸で再現してみます。
【導入前】ある広告運用担当者の1日
- 9:00 昨日の配信データを手動で集計。コメントとエンゲージメントを表にまとめる。
- 11:00 コピー案を3本書いてチームに共有。フィードバックを待つ間、別案件の資料に移る。
- 14:00 修正案をもう2本追加。バナーのイメージをデザイナーに口頭で伝えるも、認識がずれて再説明。
- 18:00 バナー素材1点が上がってくる。別パターンは翌日持ち越し。
- 21:00 翌日の投稿文を1本書いて終了。明日のプレゼン用コピーはまだ3本のまま。
【導入後】同じ担当者の1日
- 9:00 配信データをAIに渡してサマリーとコピー改善案を生成。確認は15分で完了。
- 9:30 コピー案20本から3本を採用。バナー指示書生成プロンプトでデザイン指示書を即生成。
- 10:30 Adobe FireflyとCanvaで素材候補4点を出し、デザイナーに共有。口頭説明は不要。
- 13:00 A/Bテスト設計を完成させ、配信設定へ。
- 15:00 週次の効果レポートをAIでドラフト。承認を回してほぼ完成。翌日の仕込みも済み。
コスト50%削減という数字は、こういう時間の積み重ねから来ているんだと思ってます。
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正直な限界:うまくいかないケースと向かない会社
万能ではないので、率直に書きます。
コピーの精度が下がる典型的なケースは、渡す素材が薄いときです。「高品質なコーヒーのコピーを書いて」という指示では、AIは汎用的なコピーしか出せない。ターゲットの年齢・ライフスタイル・使用シーンが具体的に渡れば渡るほど、出力の解像度が上がります。
僕自身、匠座の記事生成パイプラインを組んでいる過程でこれを痛感しました。最初は「広告業界の実務者向け記事を書いて」という大雑把な指示でAIに原稿を出させていたのですが、当然ながら薄い。読者像・業界特有の課題・使うべきデータを一次情報シートとして構造化して渡すようにしてから、初めて「このまま使える」に近い原稿が出てくるようになりました。インプットの設計が制作品質を決める——これはAI活用全般に当てはまる原則です。
向かない会社・チームの特徴もあります。承認フローが複雑でコピー1本に3部署の確認が必要な環境では、AI生成の速度メリットが承認ボトルネックで消えます。AIを導入する前に、制作フローの整理が先になるケースは少なくないです。
著作権・権利処理については、画像生成AIは利用規約が頻繁に更新されています。商用利用の可否をツールごとに確認する工程は省かないでください。これを省いてトラブルになった事例が国内外で出始めています。
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よくある質問に先に答えます
Q. 生成AIを使うには専門的なスキルが必要ですか?
プログラミングは不要です。必要なのは「誰に、何を、どんな言葉で伝えるか」を文章で構造化する力、つまり元々コピーライターやプランナーが持っているスキルです。最初の1週間はこの記事のプロンプトをそのまま使って慣れることから始めてみてください。
Q. AIで作ったクリエイティブは効果が出ますか?
「AIで作ったかどうか」より「ターゲットに刺さるかどうか」が効果を決めます。AI生成のメリットは「試せる量が増える」ことです。A/Bテストのサイクルを速くして、勝ちパターンを早く見つけられるようになります。
Q. どのツールから使い始めるのが無難ですか?
コピーならChatGPTかClaude、バナー静止画ならCanva Magic StudioかAdobe Fireflyが入口として使いやすいです。まず1工程に絞って使い始め、フローに定着させてから他の工程に広げるのが、挫折しないコツだと思ってます。
Q. 著作権はどうなりますか?
ツールによって方針が異なります。Adobe Fireflyは商用利用に対して補償制度を持っている点で実務での安心感があります。Midjourneyは利用規約を定期的に確認する必要があります。いずれも最新の規約を必ずご確認ください。
Q. 社内に反対意見がある場合はどうすればいいですか?
最初は「人間がチェックする前提のドラフト生成」として始めるのが摩擦が少ないです。コピー20本から人間が3本を採用する、という設計なら「AIに決めさせる」ではなく「AIに候補を出させる」フローになります。そのうえで効果データが積み上がれば、社内の合意は自然と取りやすくなります。
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| ステップ | 一言で言うと | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 1. コピー量産 | ターゲット情報を渡して20〜50本出す | 30〜60分 |
| 2. クリエイティブ指示書化 | 採用コピーをデザイン指示書とAIプロンプトに変換 | 15〜30分 |
| 3. バナー・静止画生成 | Firefly / Canvaで素材を出してデザイナーと共有 | 30〜60分 |
| 4. 動画広告への展開 | RunwayやVrewで動画・字幕・BGMを追加 | 60〜120分 |
| 5. A/Bテスト設計 | 1変数ずつ差分を作り配信設定へ | 30分 |
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今日やること:30分でここまで動く
ステップ1(10分):この記事のコピー生成プロンプトに、今抱えている案件のターゲット情報を入れてChatGPTかClaudeで走らせてみてください。20本出てきたコピーの中で「これは使えそう」と感じるものが1本でも出れば、次のステップに進む意味があります。
ステップ2(15分):採用したコピーを使って、バナー指示書生成プロンプトを走らせてみる。出てきたデザイン指示書を、社内のデザイナーかCanvaに渡してみてください。「口頭で何度も説明していたこと」が文章で整理される体験ができると思います。
ステップ3(5分):上の工程を1件完了させた後で、「自分のチームのどの工程に次に使えそうか」をメモする。コピー→バナー→動画の順で広げていくのが、現場で定着しやすい順序です。
広告業界の90.8%がAIを活用する今、差がつくのは「使っているかどうか」ではなく「工程に組み込めているかどうか」です。参考 最初の1件、今日動かしてみてください。
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編集長メモ:ヘリックス(執筆者について)
ツール比較より「工程への差し込み方」を優先して書きました。2本のプロンプトを手元に置いて、明日の案件で一度流してみてください。体で覚えると、記事を読んだ時より10倍早く使えるようになります。
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